その時分すでに私の妻の悪口を云ったものがあるんですか ああ話したまえ 吾人の情操を優美にし、品性を高潔にし、同情を洗錬するのは全く両者の御蔭であります。 楽器のある店は金善即ち金子善兵衛方ですから、まだなかなかです どうか御遠慮なくと寒月君が云うと、主人は 妻を貰えばなお這入れやしないと主人はむずかしい顔をして云った。 決して負けるな 　吾輩は世間が狭いから碁盤と云うものは近来になって始めて拝見したのだが、考えれば考えるほど妙に出来ている。 ところがそう行かないので、私が最後の甘干しを食って、もうよかろうと首を出して見ると、相変らず烈しい秋の日が六尺の障子へ一面にあたって…… だって一国中ことごとく黒ければ、黒い方で己惚れはしませんかと東風君がもっともな質問をかけた。 約三四時間も立ったと思う頃、もうよかろうと、首を出すとあにはからんや烈しい秋の日は依然として六尺の障子を照らしてかんかんする、上の方に細長い影がかたまって、ふわふわする 無絃の素琴を弾じさ 着物がないですか。 独仙君はいつの間にやら、床の間の前へ退去して、独りで碁石を並べて一人相撲をとっている。