生長するどころではない、その生長の速かなる事は禅寺の筍が若竹に変化する勢で大きくなる。 名前の独仙なども振ったものさ。 僕を侮辱したものである。 先生何とか云っておやんなすったんでしょう 素袷や素足は意気なものだそうだが、この男のはなはだむさ苦しい感じを与える。 熱心は成効の度に応じて鼓舞せられるものであるから、吾が髯の前途有望なりと見てとって主人は朝な夕な、手がすいておれば必ず髯に向って鞭撻を加える。 どうせ無風流ですわ。 おや君かもないもんだ。 こうなると主人が八っちゃんだか、八っちゃんが主人だか判然しなくなる。 見るからに不愉快な容貌が出来上ったと思ったらいやこれは駄目だと当人も気がついたと見えて早々やめてしまった。 ことに宮様の御顔を拝むなどと云う事は明治の御代でなくては出来ぬ事だ。 まことに気の毒な至りである。 なかなか容易には分らん そんなら貰ったかと聞くと、誰もくれた人はないそうだ。